食べものを飲む込むときに飲み込みづらかったりすることがあります。これは嚥下困難といわれる症状です。
中にはむせてしまったりなどもあり、ここまで来ると嚥下障害ともいわれます。
普段はおいしい食事を楽しめることなく、食事を苦痛に感じてしまうことも多いです。
嚥下障害が重度になってくると食事が摂れなくなるケースも少なくありません。
通常食べもの、飲み物は食道に入って胃に送り出されるのですが、誤って食べものが気管に入って、食べものや唾液に付着した細菌が肺に入って誤嚥性肺炎を起こす可能性もあります。
飲み込みにくい
考えられる病名は?
咽頭炎、口腔がん、舌がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、食道炎、口内炎や歯槽膿漏などのほかに、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害や神経障害、筋疾患における原因も考えられます。
飲み込みにくくなる原因は?
最大の原因と考えられるのはまさに加齢によるものです。
加齢すると喉周辺にある筋力が衰えてくるために飲み込む機能が悪くなってくるため、嚥下をスムーズにできずに飲み込みづらさを感じます。
また食道に入らなければならない食べものが誤って気管へ入って、気管に入り込んだ食べものを排出しようすることでむせることがあります。
このほかの原因としては、喉や食道の疾患が検討されます。
咽頭炎や扁桃炎、舌がん、咽頭がん、喉頭がん、食道炎などといったものです。
食道から胃に送り出す筋肉の働きが衰えていることや通り道のどこかが狭くなっているなどの原因が考えられます。
特に咽頭がん、喉頭がんなどはこの通り道が狭くなるため綿密な検査が必要です。
過労などのストレスによる心理的な要因から飲み込みづらくなるケースもあります。
それぞれの病気への対策とは?
①扁桃炎
扁桃に細菌やウイルスが感染することによって炎症が生じている症状です。
溶連菌が代表的な扁桃炎であり、このほか黄色ブドウ球菌、肺炎球菌などの細菌やライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルスなどで引き起こすケースがあります。
喉の痛みや発熱に加えて、食べものが飲み込みづらくなることがあります。
・対策
細菌が原因で起こした場合は、抗生物質を内服して対処します。
また、喉の痛みや発熱などに関しては解熱鎮痛剤を使って対症療法を採ることも多いです。
飲み込みづらいので水分を取りづらくなりますが、脱水にならないようにこまめな水分摂取が必要です。
②喉頭がん
頭頸部がんの一つであり、空気の通り道である気道の一部である喉頭にできるがんです。
喫煙歴に関連があるといわれており、胃食道逆流炎などの影響もあるのではないかと考えられています。
がんが声帯に発生すると声がれが生じやすいですが、声帯ではない場合は症状が分からない状態で肥大していき、嚥下のときに飲み込みづらくなったり、呼吸が苦しかったりする気道狭窄といった症状で見つかることが多いです。
・対策
比較的小さなものや浸潤がないものは、放射線治療またはレーザー治療を行っていきます。
ただし大きなものやこれによって治療しきれないものについては手術が必要となります。
喉頭を全摘しますが、病変の状態により部分切除も可能です。
また手術が行えないときは放射線や抗ガン治療を合わせて実施する場合もあります。
③咽頭がん
咽頭がんは発生する場所によって分かれており、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんがあります。
鼻の奥から口の奥、食道に至る部分が咽頭にあたります。
咽頭がんは、喉の違和感を感じやすく、食べものは中咽頭から下咽頭を通って食道に進むので、この部位にがんが生じると飲み込みづらさを感じてしまいます。
・対策
咽頭がんは、早期のがんであまり進行していない場合は基本的に放射線治療と抗がん剤を合わせて対処し、これだけでも根治を期待することは可能です。
手術を行う場合は、近年では患者の負担がかかりにくい経口手術が普及しており、口から器具を入れて実施することで、傷を最小限に抑えます。
また進行している場合でも上咽頭がんであれば放射線治療と抗がん剤で治療が進められます。
中咽頭がんはこれに合わせて手術も実施されます。
④食道がん
食道がんは、下咽頭から胃までの28cmほどの長さをした食道の粘膜に生じるがんを指します。
このがんは、リンパ節や他の臓器まで転移する恐れがあります。
原因となるのは過度のアルコール摂取や喫煙歴が挙げられます。
普段からヘビースモーカーの方は要注意です。
また、アルコールの代謝に関係する酵素の欠損自体がこの食道がんの原因となっているということが考えられています。
そのため、ちょっとお酒を飲んだだけで顔が赤くなる人などが大量の飲酒を続けることでリスクがより高まります。
食道がんはがんが進行していくと食べものが詰まるような感覚を覚えたり、体重が減ったり、胸・背中の痛み、声のかすれなどの症状が現れます。
がんが大きくなると食道の内側が狭くなり、次第に食道を塞いでしまう危険もあります。
・対策
早期がんの場合は内視鏡を使ってがんを切除していきます。
このほかにも抗がん剤や放射線治療を行うことがあります。
ステージⅡやⅢまで行くと手術の前に抗がん剤によってがんを小さくしてから手術を行います。
ステージⅣになると科学放射線療法を試すケースが多いです。