通常は匂いの粒子が鼻腔の奥に位置する嗅粘膜に届くことで嗅神経を通って脳へ伝わって匂いを感じることができます。
しかし、この経路で炎症を起こしたりなど異常が起こることで匂いの感覚(嗅覚)を失うことや、分かりにくくなってしまいます。
おいしい料理の匂い、ガス漏れなどの匂いなども分からなくなり、嗅覚に障害を持つと生活の大きな影響を与えてしまうことになります。
また、匂いが分からなくなってしまうと味が分かりにくくなることも多く、嗅覚と味覚に障害をきたすことになることも多いです。
においがしない
考えられる病名は?
副鼻腔炎、風邪、アレルギー性鼻炎、鼻中隔が歪むことで空気の通りが悪くなって鼻づまりを起こす鼻中隔彎曲症、頭部の外傷や脳腫瘍などが挙げられます。
原因は何が考えられるのか
風邪のウイルスによって鼻づまりの症状を訴えます。
しかし、風邪が治れば解消する症状なので風邪を引いている間の一時的なものが多いです。
副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、鼻中隔彎曲症などで匂いの分子が嗅細胞のある嗅上皮に達しないことなどが原因となります。
このほかにも嗅上皮の障害としてウイルス性の風邪に感染し、嗅上皮の萎縮や炎症を起こす場合、そして頭を強打したことや抗がん剤の長期投与によって嗅糸断裂を起こし嗅覚を失うこともあります。
また頭部の外傷や脳腫瘍、加齢によっても、中枢神経性の嗅覚障害を起こしてしまいます。
さらに亜鉛が不足している場合も嗅覚が分かりにくくなる原因となります。
各病気に対する対策
①慢性副鼻腔炎
鼻漏や鼻づまりなどといった副鼻腔の慢性的な症状が12週間以上続く状態を指します。
蓄膿症とも呼ばれています。
基本的には風邪に関連して羅漢する急性副鼻腔炎から発症するケースが多く、細菌感染によって起こります
このほか鼻中隔彎曲症などにより起こるケースもあります。
また子どもの場合は免疫が十分でないことやアデノイドが肥大している場合も起こり得ます。
副鼻腔粘膜が腫れて、鼻茸というポリープが生じます。
黄色い粘り気のある鼻汁が出て、この鼻汁が喉の方へ垂れてしまう後鼻漏になることもあり、咳嗽にもつながるケースも多いです。
・対策
マクロライド系の抗菌薬や去痰剤を併用して治療していきます。
また、副鼻腔などに薬剤を投与するエアロゾル両方も行われることもしばしばです。
子どもの場合は基本的にマクロライド系抗菌薬と去痰剤を用いた保存的療法で治癒していくケースが多いです。
また、大人の場合は鼻茸によって鼻腔と副鼻腔の交通が塞がっている場合は手術が必要になることもあります。
近年では 内視鏡を使った手術が主流となってきています。
またとき漢方薬が有効となるケースもあります。
②アレルギー性鼻炎
原因となるのは花粉やダニ、ハウスダストなどで、これらが粘膜に付くことで起こるアレルギーの疾患です。
通年性アレルギーとしてはハウスダストやダニ、動物の毛などが挙げられ、季節性のアレルギーは花粉であり、日本だけでもおよそ60種もあるほどです。
代表的なものはスギ花粉、ヒノキ花粉です。
症状は鼻水、鼻づまり、くしゃみであり、目のかゆみや頭痛などを訴えることもあります。
鼻づまりによって匂いが分かりづらくなります。
倦怠感が訪れることもあり仕事や学業などに身が入らなくなるケースも多いです。
・対策
通年性アレルギー性鼻炎の場合は布団やカーペットなどを頻繁に選択し、干す、また掃除を欠かさないなどアレルギーの原因となる物質をできるだけ取り除くことが必要です。
季節性アレルギー性鼻炎では、外出時にゴーグルなど眼鏡やマスクを着用して防ぐことができます。
薬は抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬を使います。
くしゃみや鼻水が主な症状の際は抗ヒスタミン薬が使われます。
また近年ではアレルゲン免疫療法が季節性、通年性アレルギー性鼻炎いずれも対応できるようになってきており、アレルゲンを少量から体内に投与することで身体がアレルゲンに慣れさせることによって症状を和らげていくという方法も採られています。
③急性鼻炎
いわゆる鼻風邪の症状を指します。
鼻の粘膜が急性炎症を起こしている状態で、主にウイルス感染によって起こります。
鼻づまり、くしゃみ、鼻水の症状が出ることで匂いが分かりづらくなります。
急性鼻炎を生じるときは、鼻の粘膜だけではなく副鼻腔や耳管を介し、中耳へ炎症を生じるケースもあり副鼻腔炎や中耳炎に発展する可能性があります。
このようなときは副鼻腔炎は顔に痛みを感じる場合や中耳炎は耳に痛みを感じるようになります。
細菌感染による急性鼻炎を起こすこともあります。
・対策
いわゆる急性鼻炎はウイルスを起因としているため、治療薬というものはなく基本的には自然治癒を期待することができます。
しかし症状が気になり生活に支障をきたす場合なども含め、基本的に対症療法によって治癒するまでの期間を待ちます。
対症療法として使われるのは、ネブライザー、抗ヒスタミン薬、解熱鎮痛剤などを使って対処します。
また、耳鼻科で鼻水を吸引することで症状を軽くさせることも可能です。
細菌感染が疑われた場合は抗生物質を内服することもあります。
④急性副鼻腔炎
鼻腔と隣り合った副鼻腔が細菌感染して、急性炎症を起こしている病気です。
風邪の急性鼻炎などをきっかけに発症するケースがほとんどです。
副鼻腔に炎症を起こすと腫れて副鼻腔に膿が溜まります。
目の下や額などの顔に痛みを感じることもあります。
・対策
細菌感染を起因としているため、抗菌薬の内服を使って治療を行っていきます。
溜まった膿を出しやすくするために去痰剤を処方されることも多いです。
さらに痛み、熱などがあれば解熱鎮痛剤が処方されるケースもあります。
さらには耳鼻科での処置なども有効です。