鼻の入り口には血管が集中している箇所があり、鼻いじりをしたりなどして粘膜がちょっと傷つけただけでも簡単に出血を起こします。
鼻血が出やすい
考えられる病名は
白血病、特発性血小板減少性紫斑病、血管がもろくなることによる高血圧症、動脈硬化症など
原因はなにか?
鼻血が出る原因で多いのは、外傷です。
アレルギーなどを持っていてかゆくて鼻をいじってしまったときや鼻いじりなどをする癖があるとちょっとしたことで傷が付き、出血を生じます。
鼻は柔らかな粘膜でできているため、傷が付きやすくなっています。
鼻の入り繰り付近からおよそ1~2cmはキーゼルバッハと呼ばれる部位で毛細血管が集中しているため、鼻いじりだけで傷つきやすくなってしまいます。
アレルギー性鼻炎を持病として持っている方で鼻を強めにかむ癖がある方も鼻血が出やすくなります。
子どもの鼻血の原因は主にこのアレルギー性鼻炎が起因していることが多く、かゆみによる鼻いじりが原因です。
また、血圧が高くなっているときなども鼻血が出やすくなります。
血管がもろくなっている方は飲酒などのように血圧が上昇するような行動を避けるべきです。
鼻血が出やすくなり、このケースは鼻の入り口ではなく奥から出血することがほとんどで、鼻の奥には動脈が走っていることからこれが切れると大量出血するケースもあります。
このほか血液疾患の白血病や特発性血小板減少性紫斑病なども原因の一つになります。
対策方法は?
①アレルギー性鼻炎などによる鼻出血
アレルギー性鼻炎を持っている方は鼻のかゆみで鼻の中を著しくいじってしまい、指や爪などで鼻の粘膜を傷つけた場合や鼻を強くかんだことによって鼻出血を生じます。
・対策
鼻血が出たら、上を向いて鼻血を止めてはいけません。
そうすると血液が喉に流れ込んで飲み込むことになってしまいます。
座った状態で顎を引き、指をつまんで圧迫して5分から10分ほど安静にしましょう。
そうすることで鼻血を止めることができます。
ティッシュを鼻に詰める方もいますが、これはティッシュを取り出すとき、傷をせっかく塞いでくれる血のりがはがれて再度出血しやすくなるためおすすめできません。
②動脈性の出血
子どもはキーゼルバッハによる出血がほとんどですが、大人の場合は動脈性による出血の可能性も否めません。
中高年で高血圧の症状が見られる方に起こりやすい症状です。
鼻腔の後ろにある蝶口蓋動脈などの太い血管が動脈硬化によって血管がもろくなって生じます。
太い血管ですから大量の出血となり、鼻からのみならず口から吐血することもあります。
・対策
このように鼻から、口から大量に出血したらすぐに医療機関にかかることが必要です。
止血処置はレーザーまたは電気メスを使って処置します。
狭心症や心筋梗塞の方は抗凝固薬を内服している方が多いですが、これは血液をさらさらにする効果があるので鼻血が止まらなくなる恐れがあります。
このような方は基本的に大量出血の前に少量の出血を繰り返すことが多いので、この時点で耳鼻科で処置を行っておくとひどくならずに済みます。
③鼻中隔彎曲症
鼻中隔という部位が歪んでいることで鼻づまりや鼻血が出やすくなる症状が出る病気です。
鼻中隔には鼻中隔軟骨や骨で構成されており、成長の過程で成長するタイミングがずれることで曲がってしまうことがあります。
子どものころは彎曲がほとんどありませんが、大人なっていくうちに彎曲が激しくなってきます。
曲がった鼻中隔が鼻腔に突き出た部分の粘膜は薄く引き延ばされているために欠陥が傷つきやすくなり、鼻中隔が彎曲していると鼻血が出やすくなります。
・対策
鼻中隔彎曲症は軟骨と骨の構造に問題があるので、基本的に手術をして完治させます。
鼻中隔矯正術と呼ばれるもので、曲がっている部分の鼻中隔軟骨を切除してまっすぐな部分だけに整えて戻す手術です。
局所麻酔をして鼻の入り口から器具を挿入して鼻中隔を切開して行われていきます。
手術が終わったらスポンジを詰めて軟骨を補強し、切開した粘膜の修復を促進します。
また術後に感染を防止するため抗菌薬を内服します。
また症状が軽度な場合や手術に抵抗がある方は薬を使った対症療法を行います。
しかし対症療法は一時的な効果しか得ることができません。
抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、ステロイド点鼻薬などを使用して症状を和らげていきます。
点鼻薬は鼻づまりに効果は高いものの、常用することで血管が開き、粘膜?が厚くなると慢性肥厚性鼻炎を起こしやすくなるため、症状を悪化させるリスクがあります。
④上顎がん
上顎洞に発生するがんで、組織的には扁平上皮がんと呼ばれるものが大半を占めます。
症状としては、片側に副鼻腔炎に似た症状で始まるケースが多いです。
左右どちらかで鼻閉の症状や悪臭やときに血が混じる鼻漏がある場合や顔の痛み、上顎が腫れてくるなどの症状が現れます。
・対策
がんに対しては、放射線療法や化学療法、手術療法、免疫療法などで治療を行っていきます。