好酸球性副鼻腔炎

どんな病気?

鼻の中(鼻副鼻腔)で炎症が続くと、粘膜の病的な腫れや多発性の鼻茸(はなたけ)が発生します。中でも、特殊なアレルギー反応による炎症を原因とした難治性の副鼻腔炎が「好酸球性副鼻腔炎」です。主な症状は鼻づまりや鼻漏、嗅覚障害です。

【鼻の構造】
副鼻腔は、大きく分けて、『おでこ』にある前頭洞、『目の内側』にある篩骨洞、篩骨洞のさらに奥の『頭の中心』にある蝶形骨洞、『頬の奥』にある上顎洞からなります。副鼻腔炎は、これら副鼻腔の粘膜に炎症が起こることで発症します。

一般的な慢性副鼻腔炎は一度の手術でかなり治りますが、この好酸球性副鼻腔炎は再発しやすいという特徴があります。手術で一度軽快し薬物治療でコントロールをしていても、風邪などの感染を機に鼻茸が再度大きくなり、悪い状態に戻ってしまうことがあります。難治性の疾患であり、2015年7月に厚生労働省より指定難病の1つに認定されています。

治療法

今日では鼻の内視鏡手術が最も優れた治療法となっています。内視鏡を用い、副鼻腔の腫れた粘膜と薄い骨でできている隔壁を除去し、鼻腔と副鼻腔を広く交通させ一つの空洞とすること(副鼻腔の単洞化)が治療の第一歩です。術後は抗アレルギー剤の内服やステロイド系点鼻薬等の継続で再発を予防します。

術後の経過と再発

通常の副鼻腔炎であれば、初回手術でほぼ治癒が目指せます。しかし好酸球性副鼻腔炎の場合は、30~40%の方が1年から数年の間に再発することが分かっています。再発した場合、再手術を行うと初回手術を含め約90%の方が治癒状態となります。

残り約10%の方が、少量のステロイド投与または抗体薬の注射(デュピクセント)等の治療を続けていくこととなります。難治性の疾患であることから、経過観察や投薬を継続すること、長期間にわたって病気と付き合うことが必要です。

再発時の治療の選択肢として挙げられる「再手術」や「抗体薬の注射」は有効な手段ですが、実施可能な医療機関が限られているのが現状です。当院では、これらを含めた選択肢の中から適切な治療法をご提案いたします。

再手術は、手術適応となる患者様にご提案できる方法です。鼻茸の切除はもちろん、粘膜の清掃、鼻副鼻腔形態の修正により鼻閉や鼻漏、後鼻漏の症状改善が期待できます。再手術は基本的には悪くなっている部位のみの手術なので、初回より軽い手術が行われることになります。当院では、短期滞在でなるべく負担の少ない内視鏡手術を提供しております。また、初回手術・再手術とも、特に前頭洞や上顎洞に対し改良された手術法を行っております。他院で手術をされ改善しなかった方でも、どうぞご相談ください。

抗体薬の注射は「デュピクセント」という注射薬を定期的(2週間に1回)に投与する方法です。デュピクセントは副作用が少ない上、嗅覚障害を含めた症状改善が期待できる有効性の高い薬剤です。ただ、薬自体が非常に高価な上、根本的な治療ではないので長期にわたり継続する必要があり、薬を中止すれば再発し症状も戻ってしまいます。

手術治療のメリットは、再手術も含め約90%以上の方で治癒状態となることです。残り約10%の方はコントロールが難しく(ほとんどの場合は嗅覚障害)、デュピクセントを使用し症状の改善を目指します。長期的にみると、まず手術治療を行い、嗅覚障害の改善が困難な場合(約10%)にデュピクセントを使用するのが最良の選択と考えます。

手術の適応条件や注射薬の使用条件は様々です。ご希望の方や適応の方には、医師より詳細をご説明いたします。

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